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Intel Arc A750 (19800円)の解説と9万円以下で作れる自作 ゲーミングPC 構成

皆さんこんにちは。Mr.ハンバーガー2号です。最近 Intel Arc A750 が16200円~19800円で投げ売りされるケースが多く目撃されており、筆者も実際に購入して使用してみました。今回はIntel Arc A750 の紹介と、このグラボを用いた格安 ゲーミングPC を構成する際に、他にどのパーツを組み合わせるのが良いのかを紹介します。

Intel Arc って何?

「 Intel Arc 」はIntelが国内2022年12月から発売開始したグラフィックボードの新シリーズです。今までグラフィックボードは「 Nvidia GeForce 」と「 AMD RADEON 」を搭載したモデルが販売されていましたが、「 Intel Arc 」の新規参入でユーザーは3つのブランドからグラフィックボードを選択できるようになりました。

しかし、既存のゲームの多くは Nvidia GeForce や AMD RADEON 向けに作られているため、安定性を重視するPCユーザーからは Intel Arc は見向きもされませんでした。その結果、発売当初は49,201円で発売されていた Intel Arc A750 でしたが、わずか2ヶ月で6~7割引の16200円や19800円で特価販売されるケースが出てきています。( Tsukumo ・ パソコン工房 ・ アーク などの店頭やネット通販にて)

Intel Arc A750 のゲーム性能はどのくらい?

ゲームタイトルによります。ゲームで使用されているAPI( DirectX )の世代が新しければ安定するようです。 Fortnite ならゲーム設定から DirectX 11 と DirectX12 を選択できますが、 DirectX 12 を選択した場合はフレームレートやパフォーマンスが安定します。

特価販売されている Intel Arc A750 ですが、グラフィックボードの性能自体は4万円台で販売されている GeForce RTX3060 や RADEON RX6600 に匹敵します。

筆者も実際に購入して検証中です。 ソニックフロンティア や Minecraft 統合版 などの新しいゲームなら安定して動くものの、 FF15 などの少し古いゲームではフルHD最高画質でベンチマークが「やや快適」程度に留まるなど、 RTX3060 並のフレームレートを出せるゲームも有れば、逆に下回る例もあり、バラツキがある状況です。

しかし2万円で購入できるのであれば、同価格帯の GTX GeForce 1650 や RADEON RX6400 より高いパフォーマンスを出せます。

Intel Arc A750 の動画エンコード性能はどのくらい?

動画再生(デコード)やエンコードの性能はとても優れています。YoutubeやNetflixで採用されている最新規格の「 AV1 」について、 Intel Arc シリーズは ハードウェアエンコード ・ デコード 機能を備えています。「 AV1 」は低ビットレート時の画質が優れており、1080p で3500kbpsの低ビットレートでも動画の破綻がほとんど起こりません。 TS抜き の録画サーバーで動画のファイルサイズを圧縮したい場合などはとても重宝します。 他社のグラボでAV1のハードウェアエンコーダーが搭載されたのは、最新世代の GeForce RTX4000 シリーズや Radeon RX7000 シリーズからとなります。

筆者も Handbrake で AV1 エンコード を実施しましたが、 i7 13700K との組み合わせであれば1080pの動画を390~400fpsで処理できました。 AV1 のソフトウェアエンコードは13700Kでも30fpsしか出ないため、極めて重い処理です。それが13倍の速さで安定して ハードウェアエンコード できるのは驚異的で、超爆速と言えます。

Intel Arc シリーズの注意点

Intel Arc の性能を発揮するには、マザーボードとCPUが「 Resizable Bar 」という機能に対応しており、かつBIOSが適切に設定されている必要があります。 「 Resizable Bar 」 対応のCPUとマザーボードは以下になります。

CPU マザーボード
Intel 第10世代Core以降 Z490/H470/B460/H410以降
AMD Ryzen 5000シリーズ以降 AMD 500/400チップセット以降

※AMDの400番台チップセットと Ryzen 5000 シリーズを組み合わせる場合は、動作や Resizable Bar の実行にBIOSアップデートが必要です。

加えて、 Resizable Bar を有効化するには、予め CSM ( Compatibility Support Module ) を無効にした状態でWindows OSをGPT形式でインストールし、BIOS上で Resizable Bar を有効化しておくことが必要です。

Windows 11対応を謳う最近のマザーボード(Intel 第12世代以降)ならBIOSの初期値で CSM無効 や Resizable Bar が有効の状態で出荷されており、設定変更の必要は有りません。CPUやマザーボードを新規に購入する際は、Intel 第12世代以降から選ぶようにして下さい。

やや古いマザーボードだとBIOS設定の変更やWindows OSの再インストールが必要となる場合も有りますので、ご注意下さい。

どのくらいの値段なら「買い」?

2万円以下なら「買い」ですが、ゲーム目的で3万円以上ならオススメしません。3万円以上出すなら、4万円前後で GeForce RTX3060 や Radeon RX6600 を買いましょう。

AV1 形式の動画のエンコード目的で有っても、エンコード性能は下位グレードの Arc A380 (約2.3万円)と同じ性能です。エンコード用に Arc A750 で3万円を出すくらいなら、 Arc A380 を買うほうが幸せになれます。

Arc A750 はあくまで2万円で購入できるからこそ、価値が有るグラフィックボードです。間違っても転売屋から2万円以上で購入しないようにしましょう。

どんな人にオススメ?

以下の人にオススメです。

  • 普段使いで使用するけど、たまにゲームもやりたい人
  • PS5 世代のゲームをフルHDや1440pで遊びたい人
  • ゲームによって多少フレームレートにバラツキが出ても、そんなに気にしない人
  • 高い競技性能は求めない人
  • ライトゲーマーで GTX1650 くらいのPCで検討していた人
  • サブPCで使うグラフィックボードを探していた人
  • AV1エンコーダー を使って、動画のエンコード(圧縮)をしたい人
  • 人柱になりたい人

逆に以下の人にはオススメできません。

  • ゲームに安定性を求める人
  • ゲームによってフレームレートにバラツキがあるのは困る人
  • 競技性の高いFPSなどのゲームでバリバリ使いたい人
  • Intel Arc発売以降にアップデートが行われていない、少し古いゲームをプレイしたい人

Intel Arc A750 で作るコスト重視パーツ構成(9万円台)

intel Arc A750 を使って、コスト重視でゲーミングPCを組む際のおすすめパーツ構成です。CPUはIntelの第12世代や第13世代以降、マザーボードは6XXや7XX以降の型番を選んで下さい。最近のCPUとマザーボードの組み合わせであれば、 Resizable Bar が予め有効化されています。

パーツ 商品名 予算
グラフィックボード Intel Arc A750 19,800円
CPU Intel Core i5-12400 26,745円
マザーボード AsRock B660M Phantom Gaming 4 12,650円
メモリ Crucial 16GB(8GBx2枚) DDR4 3200MT/s(PC4-25600) CL22 CT2K8G4DFRA32A
電源 玄人志向 KRPW-BK650W/85+ 7,180円
ストレージ Crucial P3 1TB 3D NAND NVMe PCIe3.0 M.2 SSD  CT1000P3SSD8JP 8,255円
CPUクーラー Deepcool AK400 3,000円
PCケース DEEPCOOL CC560 6,980円
合計 89,590円

※Windows OSのライセンスを所有していない場合はライセンス料の1.7万円が追加で必要です。その際は10.7万円の予算となります。

※DDR4規格のメモリ・マザーボードは、DDR5規格のメモリ・マザーボードと互換性がありません。購入の際はご注意下さい。

この構成で組んだ場合は、以下のスペックとなります。

  • 12世代のCore i5(Pコア×6、Eコア×0)
  • DDR4 3200MHz 16GBのメモリ
  • 1TBのM.2 SSD
  • グラフィックス性能はRTX3060搭載機に匹敵

10万円前後でこのスペックは驚異的です。現時点でBTOでのRTX3060搭載機の相場は15万円前後となります。

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一方で、「ゲームによってフレームレートにバラツキがあるのは困る」「FPSで144fpsのフレームレートを安定して出したい」という方は、+2~3万円でグラフィックボードを GeForce RTX3060 や Radeon RX6600 にしておくのがオススメです。

それでは良き自作PCライフをお過ごし下さい。